朝ドラと同じノリで毎日「やすらぎの郷」を見ている。見終わると「は*きルーペ」なる商品の宣伝が入る。

 初夏に、オジキが死んだ。10人近くいた母の弟妹の一人で、90歳を超えた大往生だったという。四十九日の法事の後、喪主を勤めたいとこが香典返しを送ってきた。海苔や茶の詰め合わせのほかにいくばくかの商品券が入っていた。何に代えようかと迷ったが、思いついて「は*きルーペ」購入金の一部に充てた。毎日手近に置いて耳に掛けるたびに、優しかったオジキを思い出せるからと思った。

 私が物心ついたころはまだ結婚していなかったので、おじさんではなく「Y兄ちゃん」と呼びならわしていた。

 我が家が関西にあったころは、年に一度なつやすみに母の里帰りに合わせて会いに行っていたが、我が家が関東に出てからは二三度行ったきりだ。一番最近はもう30年ほど前、子どもたちに一度は私の母の故郷を見せておきたいと車で出かけて、一晩止めてもらった。

 そのあとは私の父の葬儀に来てくれて話をした。

 今、新聞や本を読むときは、「は*きルーペ」を使っている。

 そしてオジキのことを、たまに思い出す。